僕は普段、周りの人に対し愚痴をこぼさない。
他人の愚痴は聴くが、自分からはこぼさない。
これは俺のポリシーだ。
常に前向きに未来のことだけを考えるという、遠い昔からずっと続けてきている、ポリスィー、だ。
それでも日々の暮らしの中で、少しずつストレスが溜まっていくことはよくある。
それらのストレスは少しずつ僕の心に溜まって、胸の奥を締め付け、気がついた時には余裕がなくなって、まわりの視線を気にし、睡眠時間が増えている。
僕の場合悪い流れは常にこうして始まる。
睡眠時間の増加はBADSTORYの兆候。
そこから無力感と虚無感を感じ、憂鬱が始まっていくのだ。
そして今、少しずつ睡眠時間が増えてきている。
グレート!間違いなく暗い未来へ突き進んでいるぜ。
しかし立ち止まって、悪い未来の訪れをただ待っているようなタマでもない。何事にでもやりようはあるってもんだ。
他人の愚痴は聴くが、自分からはこぼさない。
これは俺のポリシーだ。
常に前向きに未来のことだけを考えるという、遠い昔からずっと続けてきている、ポリスィー、だ。
それでも日々の暮らしの中で、少しずつストレスが溜まっていくことはよくある。
それらのストレスは少しずつ僕の心に溜まって、胸の奥を締め付け、気がついた時には余裕がなくなって、まわりの視線を気にし、睡眠時間が増えている。
僕の場合悪い流れは常にこうして始まる。
睡眠時間の増加はBADSTORYの兆候。
そこから無力感と虚無感を感じ、憂鬱が始まっていくのだ。
そして今、少しずつ睡眠時間が増えてきている。
グレート!間違いなく暗い未来へ突き進んでいるぜ。
しかし立ち止まって、悪い未来の訪れをただ待っているようなタマでもない。何事にでもやりようはあるってもんだ。
ビーバップハイスクールで聞いたことがある。
愚痴をこぼすことはストレスを取り除く上で非常に有益であると。
例えば政治家は秘書に愚痴をこぼす。それによって政治のストレスから身を守っているのだという。政治家は自身のストレスを発散するために秘書を雇っているようなものだのだと。
なら、僕も誰かに愚痴をこぼせばいい。
確かに胸の奥でモヤモヤしているなんらかのムカツキを、外に出すことで、気持ちがすっきりするというのはある。
あのプレゼンが上手くいかなかったのは、準備に二時間しかかけていなかったからだとか、二人で180分スピーチするのはそもそも無理だとか、忘れっぽいお前よ、お前の趣味は旅行だろう、なぜそれをそこで言わないとか、くだらないことをつれづれとこう書き出すだけでも心持ちスッキリするのだもの。
だけどしかし。それを他人に向けてやるとすると、ちょっと気が引けてしまう。
もし無理やりにやろうとしても、不可能なのだ。僕の心の奥に嵌められている太い枷のようなものが、僕の動きを束縛する。それは生きてきてから今までずっと僕を縛り付けている枷だから。はっきりと認識することのできる、とても太い枷だから。
この枷が何を意味するのか、僕は既に回答を見つけ出してはいるが、それはまだここでは明かさない。
そして例えその枷の正体を認識しても、僕はそれをはずそうとは思わない。
なぜなら、その枷自体が僕を形成している精神の一部であることを、僕は既に知っているからだ。
それを壊すとなると、これはもう環境を劇的に変える外ない。
そして人は、安心と安全に対する欲求を少なからず持っている。
もし僕が枷をはずすということは、解放するということは、この安心と安全の欲求を自ら脅かすということだ。
そんなことは、まだできない。今はまだ準備ができていない。幸運なことに僕は、飛び立つための準備をする期間を与えられている。幸運なことに。
理性が本能をおし止めているように、僕の超理性(枷のことをここではこう呼ぶ)が、破滅への本能をおし止めている?
閑話休題。
なにせよこの方法は使えない。
愚痴は、こぼせないのだ。
くぅ、愚痴をこぼすのがこんなに難しいことだったとは思わなかったぜ!どうなってんだ俺の身体は!?
何か恐ろしいものの片鱗が、俺の身体に巻きついている!?
ところが解決法はあっさり見つかる。
ようは紙に書けばいいのだ。紙がなければブログでもいい。
例えば今、こうして文字を書いて自己表現をすることで、僕は自分の中のストレスを全く綺麗に取り除くことができる。
なぜかはわからないがそういう星のもとに生まれてきたらしい。
こーゆー人、他にもいっぱいいそうだけどね。
というわけで、スッキリしたので今日のところはここで終了。
いつかまた機会があれば奇妙な日記をつけてみたい。
追記。
ジョジョを40巻まで読みました。
名前のセンス、台詞のセンスにビビッときました。単純にすごい。
2ちゃんねるで使われてるのは主に三部までの台詞なんですかね。ドイツの〜は世界一ーとか、ありのまま起こったことを〜はやはり目に残る。
第四部は先が全く見えませんが、どうまとめるのか興味深く見ています。DIOは出てくるのか!?など。だた少し長すぎるのではとも思いつつ・・・。
ツッコミ、感想などなど、なにか一言ありましたらどうぞ!
木曜日にレスします!
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友人から「ゼロの使い魔」という小説を借りて読んでいます。
今のところ2巻まで読み終えました。
その友人はツンデレキャラが好きでたまらないらしく、極端な話、ルイズが出てくれば(そしてやきもきして顔を赤らめていれば)他はドーデもいいという読み方をしているようなのですがw
ツンデレ属性のない僕にはそんな読み方ができるはずもなく、ルイズのわがままぶりに「なんだコイツ」と思いつつ読み進めていったのです。
ハルヒのキャラをファンタジー風にアレンジしたような登場人物と、主人公は「伝説の〜」というご都合主義な展開を前にして、はいはいと斜に構えながら「またかよ・・・」と思い眺めていたのですが、二巻を読んで評価が一変しました。
そしてどこかで見たようなキャラクターと、ご都合主義な展開と、ツンデレ全開の姫様のことを、売れるための戦略としか考えられなかった馬鹿な自分を恥じた。
僕はこの物語に惹かれたんだ。
続きでは、なんで自分はゼロに惹かれたのかを自己分析していきたいお。
今のところ2巻まで読み終えました。
その友人はツンデレキャラが好きでたまらないらしく、極端な話、ルイズが出てくれば(そしてやきもきして顔を赤らめていれば)他はドーデもいいという読み方をしているようなのですがw
ツンデレ属性のない僕にはそんな読み方ができるはずもなく、ルイズのわがままぶりに「なんだコイツ」と思いつつ読み進めていったのです。
ハルヒのキャラをファンタジー風にアレンジしたような登場人物と、主人公は「伝説の〜」というご都合主義な展開を前にして、はいはいと斜に構えながら「またかよ・・・」と思い眺めていたのですが、二巻を読んで評価が一変しました。
そしてどこかで見たようなキャラクターと、ご都合主義な展開と、ツンデレ全開の姫様のことを、売れるための戦略としか考えられなかった馬鹿な自分を恥じた。
僕はこの物語に惹かれたんだ。
続きでは、なんで自分はゼロに惹かれたのかを自己分析していきたいお。
***********************
端的に言えばこれは、「愛と名誉の物語」か。
叶わない恋。情熱的な恋。密やかな恋。
愛と名誉のはざまで、迷わずに名誉を選ぶ男、愛を選ぶ女。
ツンデレとかご都合主義とか、そんなのは全部些細なことだと気付かされた。
すべては愛と名誉に収束する。
***********************
ツンデレ属性ゼロ。
ご都合主義?ありえないだろソレ。
裏がなきゃ人間じゃない。熱血漢の主人公ウゼー。
をモットーにする自分がゼロに惹かれた理由を幾つかあげてみる。
その1「愛と名誉」
この二つは、人間が潜在的に惹かれるものなのではないかと僕は思う。どんなに設定が面白かろうと、これが真ん中になければ心にぐっとくる物語にはなり得ない。
それから戦争の理由として、宗教的食い違いや人種的差別を持ち出すことがあるが、愛のために戦うといわれたほうが、自分勝手ではあるが納得できる。
世界を平和にするという崇高な目的で戦うのもいいが、父親の汚名を晴らすためや恋人を牢獄から救い出すためといった泥臭い個人的な理由で戦う物語の方が僕は好きだ。
(好きなのにそれを自分で書かないのはナンデダ・・・頭ワリー。絶対そのほうが自分も楽しいと思いながら、なんか違うの書いてんだよなこのバカは)
その2「貴族」
僕はなにか貴族に対する憧れがあるんだと思う。
一般人が駆け上がる物語も好きなんだが、一般人にそんなことができるわけないという反発も、胸の奥にある。
やはり生まれもっての能力の差が、絶対的な権威の差になると、どこかで僕は考えているのかもしれない。
(しかし自分が書くのは、一般人が権力を握っていく話。僕は、生まれ持っての能力差が絶対的な権威の差になると考えながらも、どうしてもそれを認めたくない。認めればその時点で、無力な自分の存在価値は無くなると切実に思っている)
その3「剣と魔法のファンタジー」
どうしてもこれに対する憧れは消えない。
なんというか、「現代を舞台にした物語」を真っ白な紙にワープロで印字した無線綴じの文庫本とするなら、「ファンタジー物」は色あせた紙に手書きで内容を記し紐で束ねた古文書のようなイメージがある。
僕は「手でつくったことが感じられるもの」が好きなので、古文書のイメージがあるファンタジーにどうしても惹かれてしまうのです。
(アニメーションでもCGよりセル画が好き。絵画でもCGより油絵のほうが圧倒的に好き。建築だって、機械で表面をツルツルに磨いた石よりも、ごつごつした手彫りの石のほうが好き。感覚的なもの)
ただまあ、SFも好きですが。
その4「FEとの共通点」
ファイアーエムブレム(任天堂)も貴族、愛と名誉、剣と魔法のファンタジーを中心としたお話です。
その世界観とキャラクターが、10年くらい前からずっと好きです。
好きすぎます。
けれど最近のはキャラクターが立ってないので嫌いです。
ゼロの使い魔はかつてのFEを彷彿とさせるところがあります。だから好きです。
*1〜3の理由は、FEによって作られたものかもしれません。
しかしFEが好きだから1〜3が好きなのか、1〜3が好きだからFEが好きなのかは、今となってはわからないことです。
だから全部書いといた。
つまり何がいいたいかというと、
ファイアーエムブレムが好きな人はゼロの使い魔をそこそこ楽しめるんじゃないかということです。
ただ、主人公&ヒロインは嫌いかもしれないね。
生粋のFEファンは・・・。
端的に言えばこれは、「愛と名誉の物語」か。
叶わない恋。情熱的な恋。密やかな恋。
愛と名誉のはざまで、迷わずに名誉を選ぶ男、愛を選ぶ女。
ツンデレとかご都合主義とか、そんなのは全部些細なことだと気付かされた。
すべては愛と名誉に収束する。
***********************
ツンデレ属性ゼロ。
ご都合主義?ありえないだろソレ。
裏がなきゃ人間じゃない。熱血漢の主人公ウゼー。
をモットーにする自分がゼロに惹かれた理由を幾つかあげてみる。
その1「愛と名誉」
この二つは、人間が潜在的に惹かれるものなのではないかと僕は思う。どんなに設定が面白かろうと、これが真ん中になければ心にぐっとくる物語にはなり得ない。
それから戦争の理由として、宗教的食い違いや人種的差別を持ち出すことがあるが、愛のために戦うといわれたほうが、自分勝手ではあるが納得できる。
世界を平和にするという崇高な目的で戦うのもいいが、父親の汚名を晴らすためや恋人を牢獄から救い出すためといった泥臭い個人的な理由で戦う物語の方が僕は好きだ。
(好きなのにそれを自分で書かないのはナンデダ・・・頭ワリー。絶対そのほうが自分も楽しいと思いながら、なんか違うの書いてんだよなこのバカは)
その2「貴族」
僕はなにか貴族に対する憧れがあるんだと思う。
一般人が駆け上がる物語も好きなんだが、一般人にそんなことができるわけないという反発も、胸の奥にある。
やはり生まれもっての能力の差が、絶対的な権威の差になると、どこかで僕は考えているのかもしれない。
(しかし自分が書くのは、一般人が権力を握っていく話。僕は、生まれ持っての能力差が絶対的な権威の差になると考えながらも、どうしてもそれを認めたくない。認めればその時点で、無力な自分の存在価値は無くなると切実に思っている)
その3「剣と魔法のファンタジー」
どうしてもこれに対する憧れは消えない。
なんというか、「現代を舞台にした物語」を真っ白な紙にワープロで印字した無線綴じの文庫本とするなら、「ファンタジー物」は色あせた紙に手書きで内容を記し紐で束ねた古文書のようなイメージがある。
僕は「手でつくったことが感じられるもの」が好きなので、古文書のイメージがあるファンタジーにどうしても惹かれてしまうのです。
(アニメーションでもCGよりセル画が好き。絵画でもCGより油絵のほうが圧倒的に好き。建築だって、機械で表面をツルツルに磨いた石よりも、ごつごつした手彫りの石のほうが好き。感覚的なもの)
ただまあ、SFも好きですが。
その4「FEとの共通点」
ファイアーエムブレム(任天堂)も貴族、愛と名誉、剣と魔法のファンタジーを中心としたお話です。
その世界観とキャラクターが、10年くらい前からずっと好きです。
好きすぎます。
けれど最近のはキャラクターが立ってないので嫌いです。
ゼロの使い魔はかつてのFEを彷彿とさせるところがあります。だから好きです。
*1〜3の理由は、FEによって作られたものかもしれません。
しかしFEが好きだから1〜3が好きなのか、1〜3が好きだからFEが好きなのかは、今となってはわからないことです。
だから全部書いといた。
つまり何がいいたいかというと、
ファイアーエムブレムが好きな人はゼロの使い魔をそこそこ楽しめるんじゃないかということです。
ただ、主人公&ヒロインは嫌いかもしれないね。
生粋のFEファンは・・・。
ツッコミ、感想などなど、なにか一言ありましたらどうぞ!
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お久しぶりです。
今週のネギま!は立ち読みしかしてないんですが、
立ち読みするのが恥ずかしいエヴァンジェリンでしたw
いろいろ説いているのはわかるのだが、
ネギが今後どのようにエヴァンジェリンの言葉を自分の中で吸収するかでしょうなあ。
何せエヴァンジェリンさんの言うことは綺麗事じゃないから、
下手すると「エヴァンジェリンさん三百年も生きてきてなんですかその考えはー」とネギに言われるかもしれない(ネギは口には出さないだろうけど)、そーゆー怖さがあるな、と。
まあ次回どのように来るか…ですな。
-------------------------------------------
主人公の過去 結合(逆)
主人公の現在 慈愛(逆)
主人公の近い未来 知恵
結末(目的) 庇護(逆)
援助者 善良(逆)
敵対者 解放(逆)
------------------------------------------
今回は龍宮の過去編です。
彼の名前は一応出さないようにしました。
今週のネギま!は立ち読みしかしてないんですが、
立ち読みするのが恥ずかしいエヴァンジェリンでしたw
いろいろ説いているのはわかるのだが、
ネギが今後どのようにエヴァンジェリンの言葉を自分の中で吸収するかでしょうなあ。
何せエヴァンジェリンさんの言うことは綺麗事じゃないから、
下手すると「エヴァンジェリンさん三百年も生きてきてなんですかその考えはー」とネギに言われるかもしれない(ネギは口には出さないだろうけど)、そーゆー怖さがあるな、と。
まあ次回どのように来るか…ですな。
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主人公の過去 結合(逆)
主人公の現在 慈愛(逆)
主人公の近い未来 知恵
結末(目的) 庇護(逆)
援助者 善良(逆)
敵対者 解放(逆)
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今回は龍宮の過去編です。
彼の名前は一応出さないようにしました。
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主人公の過去 結合(逆)
主人公の現在 慈愛(逆)
主人公の近い未来 知恵
結末(目的) 庇護(逆)
援助者 善良(逆)
敵対者 解放(逆)
------------------------------------------
両親は私を決して束縛しなかった。
だから私はあのとき家を飛び出し、「四階音の組み鈴」に入り、いま世界中を駆け巡ることができている。
行き着く先々は血で血を洗う生臭い戦場で、私の性格は次第にゆがんでいったように思う。
なにより私には、自分の非凡な戦闘センス、勘、飲み込みの速さに絶対的な自信を持ち、それらを駆使して、これまでのどんな戦場のどんな状況も一人で切り抜けてきたという自負があった。自分がたった一人で世の中を生き抜いてきたという自負があった。
その自負が、私に人に頼ることを避けさせ、差し伸べる手を払いのけることを覚えさせ、他人の善意を健全な目で正直に見ることを不可能にしていた。人は信用の置ける生き物ではないのだ。それは私自身を客観的に見れば分かる。何もかもを疑り、仕事の間だけはストレスにならないように馴れ合い、しかし仕事が終われば、全ての出来事はなかったかのようにさっぱり忘れて、次の仕事へ向かう。
「四階音の組み鈴」は固定のパートナーをつけることをしなかった。
(いや、それは私の場合だけだったかもしれない。私と組んだ人間は皆、もう彼女とは組まないと言っていたに違いない)
だから私は、誰を依拠にすることもなく、ずっと独りだった。(結合 逆)
それは八歳のいまも変わらない。
「四階音の組み鈴」の中で所属する部署は変わっても、変わらず独り。
私はこうして、テントの隅で一人拳銃を磨いている。
――龍宮真名。
その日は雨が降っていた。ぽつぽつぽつと雨がテントを打つ音は、私をひどく陰鬱な気持ちにさせた。
テントの入り口を開けて見上げると、有害な煙のように黒っぽい雲が視界いっぱいに詰まっている。
暗雲は、私の気持ちをさらに憂鬱とさせるのに十分な素材だった。次の作戦でも決まれば、少々気分が晴れるのだろうか。
私は他に特にやることもなく、地面にごろりと横になって、テントの天井にぶら下がるランタンをぼうっと見ていた。
突然。
「真名君いるかい」
男が一人、せわしなくテントに駆け込んできた。誰だったかなこいつは。
「ふーよかった。いたら入れてもらうと思ってたんだよ」
「いなくても入るつもりだったんじゃないですか?もう入ってるし」
「あ、あはは。ばれてたか。いやー、買い出し行ってもどってきたら、雨降ってるからさ、一番近いテントに一時退避しようと思ってね」
「見れば分かりますよ」
彼は両手にいっぱい荷物を抱えていた。
「んじゃお邪魔していいかい?」
「ご自由に」
彼は荷物をテントの一角によせて置き、私のそばに座った。
「真名ちゃんは」
「ちゃん付けなんて止めてください。もう子供じゃないんだから」彼に背を向けるように寝返りを打った。
「おいおい、確か君はまだ八歳だろ?子供だよ、十分に」
「子供は無垢で脆弱なものでしょう。私はもう無垢でもないし脆弱でもありませんから」
「脆弱なんて言葉よく知ってるな。感心するよ。でもそれは子供の必要十分条件じゃないな。真名ちゃんはまだ子供だと思うよ」
「何がですか。年齢だとか体格だとかいう答えならきかないです」
「違うよ。そんなものじゃなくて、君はまだ人のあたたかさというか、大切さを知らない。だから子供なんだ」
「馴れ合いしろっていうんですか」
「いや、君がすごいのは十分分かる。馴れ合いが合わないのも、分かるよ。でもこんな雨の日に一人でいるのは、君にとってどうだい?幸せなことかい?イライラしてこないかい」
「うるさい」
私はそれ以降黙って、彼の話を聞き流した。
すぐにあきれ返って帰るだろうと思っていたのだが、しかし何分何十分経っても彼はその場を立ち去ろうとしなかった。買出しに行った街の風景とか、店のおじさんの表情とか、見聞き出会った全ての事象を彼は事細かに話していた。よくそんなに覚えておけるものだと私は感心した。
私は整備中の実包を指で転がしながら、彼の話を聞き、いつのまにかウトウトと浅い眠りにおちた。彼が私の頭を撫でている夢を見て、目が覚めたときには、久しぶりに気持ちが晴れ渡っていた。それまでの私はなにかポジティブなエネルギーが切れていて、何もかもが暗闇に覆われて見えていたはずだったのに、そのときの私は(ポジティブなエネルギーを充電し終えたように)生きるための活力が溢れ視界は開けていた。彼はすごい回復魔法の使い手なのかもしれない、なんて考えたりした。
彼はその後も何度か私のテントを訪れ、私はそのたびに彼を邪魔者扱いしながら、しかし内心では少し嬉しく感じ始めてもいて、ある作戦で同じチームになったとき、これはいままでのチームメイトに対する態度とは全く異なるのだが、無愛想に接し彼個人のことについていろいろとたずねたりした。
彼は二十四歳で、四年前まではアメリカの大学に通っていたが、友人の勧めで「四階音の組み鈴」に志願し、世界中の困っている人たちを助けるためにこの活動を続けているのだという。
困っている人を助けたいなんて真顔で言うものだから、私は恥ずかしくなって顔を背け、じゃあ困っている人を助けるためなら人殺しをしてもいいのかとか聞いて、彼はそれにダメだと答えて、じゃあなんであんたは人を殺しているんだと私が聞いたら、彼は俺は人を殺したことはない、殺さないことが俺の信念だからと答えた。まわりで人殺しが起こっている世界でなんてのんきなことを考えるやつだと私は思い、実際口にも出した。自分は殺さなくても、まわりの人間が人殺しをすれば、結局人が人に殺されているのに変わりはないわけで、彼は人殺しをしようとする全ての人間を止めなければならない理屈になる。彼はその問いにこう答えた。
「確かに俺たちは世界のすべてに目を向けることはできない。人間はたった一つの身体しかもっていないからね。でもだからこそ俺は、この身体が触れることのできる範囲にいる全ての人々に人を殺してはいけないと伝え、どんな困難も人を殺す以外の方法で解決していく。もし俺にあと一万個の身体があったら、世界中で今ここにいる俺自身と同じことをする。人を殺すことは絶対に正義じゃない。だから真名ちゃんにも、そういう気持ちで活動をしてほしい。君は純粋だから、きっと想える」
彼は私の手を力強く握った。私は恥ずかしくて彼の目を見られなかった。
思えば、ずいぶんと平和な活動をするようになったものだ。
私が「四階音の組み鈴」に入ったころは、血なまぐさい戦場を転々としていたような気がしていたのに。
そんな戦場の中で、私も人を殺し、殺されかけ、また殺して、殺して殺して駆け抜けた。
それがいまやずいぶん平和な生活をしている。心も穏やかになってきたように思えた。二十四歳の彼のおかげかもしれない。そういえば私に部署を変わるように告げた男も、彼のように理想主義者だったような気がする。最も、私はその男のことは忌み嫌っていた。彼は言葉だけの人間だとどこかで見下していた。
私は次第に二十四歳の彼と一緒にいることが増えた。はっきりいって、恋愛感情を抱いてもいた。
八歳と二十四歳の恋愛なんて、正直犯罪(善良 逆)だと思うが、私たちにとってそんなことはどうでもよかった。私たちは魔法使いの仲介でパクティオーをすませ、名実共にパートナーとなった。
私たちは街の銀行を襲う犯罪者グループを生け捕りにしたり、壊れた橋の修理を手伝ったり、がけ崩れで遮断された交通の復帰に全力を注いだり、井戸を掘ったり、植物の育て方を教えたり、善良な市民を狙うテロリストを捕まえそれを市民に引き渡したり、戦争で犠牲が少しでも少なくなるよう(戦場を)立ち回ったり政府まの仲を取り持ったり、はては魔族、幽霊退治まで本当に様々な仕事をした。そのどれもで、殺さず(魔族、幽霊に対しては徹底はしなかったが……)を貫いて。私は何故か、盲目的に人を殺してはいけないのだと思うようになり、人を殺さずに無力化する技術を磨き続けた。(知恵)
そんな日々が永遠に続くと思われたころ、ある戦時中の街で市民を人質に、米国支配からの脱却を政府に要求した独立運動組織があった。彼らは強い信念を持っており、政府が要求を呑まない場合には、人質の皆殺しも辞さないと宣言していた。
九歳の私と、つい先日二十六歳になったばかりの彼は、米国に雇われて独立運動組織を止めるよう指示を受けた。
私は組織幹部のイカレタ目を見たとき、これは話しても無駄だと直感的に感じ、遠距離からのスナイプと近距離特攻で、一気に鎮圧するべきだと私は訴えた。しかし彼は、それは市民に危害が及ぶ可能性が高いからまずは話しあうべき、俺が交渉へ行ってみるといって聞かなかった。
今にして思えば、足を打ち抜いてでもこのとき彼を止めておくべきだった。私は彼が組織に制圧された街へ足を踏み入れるとき、ライフルもかまえず、その姿をじっと見ているだけでいた。
彼が一言二言大声で話し、組織幹部が立てこもるビルから出てくる。
話し合いが始まると思えたそのとき、銃声が響いて、彼の頭は鼻の上から吹き飛んでいた。
全てがなにもかも幻想のように思えて、何も考えられなくなって、地球が今現在何時何分何十秒で何回太陽の周りを回ったとか意味の分からないことを考えて、素数を数えたり、真夜中のロイヤルスイートホテルの最上階のレストランで彼とお茶したときの思い出とか、脈絡のない思い出ばかりが頭の中で高速なスライドショーのように写り変わり写り変わり、私が何者なのかなぜここにいるのかなぜこんな暑いところで汗をかきながらぼんやりと前を見ているのかその全てが分からなくなって、私は発狂した。
そのあと警官隊が突撃して、何人かの市民を犠牲にしながら、独立組織は鎮圧された。
そのことを私はきっと二週間ぐらい認識することが出来なくて、彼が死んでしまったことも認識することが出来なくて、そんな状況が数週間ぐらい続いて、「四階音の組み鈴」の上層部から実家に戻ることを進められた。
私はそれから実家である龍宮神社で崩れそうになる心を何とか支えながら父の指導を受けて一ヶ月瞑想し、その出来事を、しだいに心の奥の小さな箱の中に仕舞った。仕舞ったと思えた。結局のところそれは現実からの逃避でしかなかった。
あるとき、私が瞑想していると、私はとても不思議な気持ちを感じた。あのころ……彼がまだ二十四歳だったあのころに見た風景の全てが、鮮やかな色を持って目の前に浮かび上がってきたのだ。
「なぜこんなにくっきりと、覚えているんだろう」
言って気づいた。それはあの時自分が、彼に対して思ったことそのままなのだ。彼が買出しに行った街の風景とか、店のおじさんの表情とか、見聞き出会った全ての事象を話してくれたように、今自分は、彼と一緒に過ごした日々の中で見聞き出会った全ての事象を事細かに話すことが出来る。
そのことは私を涙させた。やっとわかった。彼のように生きることは、彼のように輝いて生きることは、あの日々、私は幸せだったのだ。そして全ての思い出が蘇ってくるに連れ、人生で最も輝かしく美しかった日々を箱に仕舞おうとしていた自分がとてもちっぽけに見えた。その思い出を除いては、決して自分は幸せでなかった。その日々を捨てることは自分の幸せを捨てることと同義だ。
だから。
私はあの日々を背負いながら、必死で今を生きよう。輝いていた日々に劣らぬ毎日を今過ごせるようにするため、あの日々の思い出を頭の中の一番取り出しやすいところにそっと置いておこう。
それは誰にも話すようなことではない。けれども自分だけは、それを毎日照合できるところにおいておこう。
私は真帆等学園へ通い始めた。
そこは皆なんらの悩みを抱え、それと向き合い、毎日を生きている。
正直、終わったことにとらわれている自分は弱かった。脆弱だった。
私は、二十六歳で人生を終えた彼の思い出を抱えながら、前を向いて生きよう。
あの夢のような日々を抱えて。
------------------------------------
援助者がグダグダになっちった!
敵対者はむしろ「解放」だし・・・。
上手くいかないもんだ、まいった。
正直いろんなことを突き詰めて考えていくうちに、
主人公は信念を持ってないとダメだって、
漠然と考えるようになってきてる。
〜だから“仕方なく”〜する
じゃなく、
〜だから、俺は〜する。
これだけでだいぶ変わるんじゃないかな。
リアルの自分自身にも言って聞かせるべきことだw
主人公の過去 結合(逆)
主人公の現在 慈愛(逆)
主人公の近い未来 知恵
結末(目的) 庇護(逆)
援助者 善良(逆)
敵対者 解放(逆)
------------------------------------------
両親は私を決して束縛しなかった。
だから私はあのとき家を飛び出し、「四階音の組み鈴」に入り、いま世界中を駆け巡ることができている。
行き着く先々は血で血を洗う生臭い戦場で、私の性格は次第にゆがんでいったように思う。
なにより私には、自分の非凡な戦闘センス、勘、飲み込みの速さに絶対的な自信を持ち、それらを駆使して、これまでのどんな戦場のどんな状況も一人で切り抜けてきたという自負があった。自分がたった一人で世の中を生き抜いてきたという自負があった。
その自負が、私に人に頼ることを避けさせ、差し伸べる手を払いのけることを覚えさせ、他人の善意を健全な目で正直に見ることを不可能にしていた。人は信用の置ける生き物ではないのだ。それは私自身を客観的に見れば分かる。何もかもを疑り、仕事の間だけはストレスにならないように馴れ合い、しかし仕事が終われば、全ての出来事はなかったかのようにさっぱり忘れて、次の仕事へ向かう。
「四階音の組み鈴」は固定のパートナーをつけることをしなかった。
(いや、それは私の場合だけだったかもしれない。私と組んだ人間は皆、もう彼女とは組まないと言っていたに違いない)
だから私は、誰を依拠にすることもなく、ずっと独りだった。(結合 逆)
それは八歳のいまも変わらない。
「四階音の組み鈴」の中で所属する部署は変わっても、変わらず独り。
私はこうして、テントの隅で一人拳銃を磨いている。
――龍宮真名。
その日は雨が降っていた。ぽつぽつぽつと雨がテントを打つ音は、私をひどく陰鬱な気持ちにさせた。
テントの入り口を開けて見上げると、有害な煙のように黒っぽい雲が視界いっぱいに詰まっている。
暗雲は、私の気持ちをさらに憂鬱とさせるのに十分な素材だった。次の作戦でも決まれば、少々気分が晴れるのだろうか。
私は他に特にやることもなく、地面にごろりと横になって、テントの天井にぶら下がるランタンをぼうっと見ていた。
突然。
「真名君いるかい」
男が一人、せわしなくテントに駆け込んできた。誰だったかなこいつは。
「ふーよかった。いたら入れてもらうと思ってたんだよ」
「いなくても入るつもりだったんじゃないですか?もう入ってるし」
「あ、あはは。ばれてたか。いやー、買い出し行ってもどってきたら、雨降ってるからさ、一番近いテントに一時退避しようと思ってね」
「見れば分かりますよ」
彼は両手にいっぱい荷物を抱えていた。
「んじゃお邪魔していいかい?」
「ご自由に」
彼は荷物をテントの一角によせて置き、私のそばに座った。
「真名ちゃんは」
「ちゃん付けなんて止めてください。もう子供じゃないんだから」彼に背を向けるように寝返りを打った。
「おいおい、確か君はまだ八歳だろ?子供だよ、十分に」
「子供は無垢で脆弱なものでしょう。私はもう無垢でもないし脆弱でもありませんから」
「脆弱なんて言葉よく知ってるな。感心するよ。でもそれは子供の必要十分条件じゃないな。真名ちゃんはまだ子供だと思うよ」
「何がですか。年齢だとか体格だとかいう答えならきかないです」
「違うよ。そんなものじゃなくて、君はまだ人のあたたかさというか、大切さを知らない。だから子供なんだ」
「馴れ合いしろっていうんですか」
「いや、君がすごいのは十分分かる。馴れ合いが合わないのも、分かるよ。でもこんな雨の日に一人でいるのは、君にとってどうだい?幸せなことかい?イライラしてこないかい」
「うるさい」
私はそれ以降黙って、彼の話を聞き流した。
すぐにあきれ返って帰るだろうと思っていたのだが、しかし何分何十分経っても彼はその場を立ち去ろうとしなかった。買出しに行った街の風景とか、店のおじさんの表情とか、見聞き出会った全ての事象を彼は事細かに話していた。よくそんなに覚えておけるものだと私は感心した。
私は整備中の実包を指で転がしながら、彼の話を聞き、いつのまにかウトウトと浅い眠りにおちた。彼が私の頭を撫でている夢を見て、目が覚めたときには、久しぶりに気持ちが晴れ渡っていた。それまでの私はなにかポジティブなエネルギーが切れていて、何もかもが暗闇に覆われて見えていたはずだったのに、そのときの私は(ポジティブなエネルギーを充電し終えたように)生きるための活力が溢れ視界は開けていた。彼はすごい回復魔法の使い手なのかもしれない、なんて考えたりした。
彼はその後も何度か私のテントを訪れ、私はそのたびに彼を邪魔者扱いしながら、しかし内心では少し嬉しく感じ始めてもいて、ある作戦で同じチームになったとき、これはいままでのチームメイトに対する態度とは全く異なるのだが、無愛想に接し彼個人のことについていろいろとたずねたりした。
彼は二十四歳で、四年前まではアメリカの大学に通っていたが、友人の勧めで「四階音の組み鈴」に志願し、世界中の困っている人たちを助けるためにこの活動を続けているのだという。
困っている人を助けたいなんて真顔で言うものだから、私は恥ずかしくなって顔を背け、じゃあ困っている人を助けるためなら人殺しをしてもいいのかとか聞いて、彼はそれにダメだと答えて、じゃあなんであんたは人を殺しているんだと私が聞いたら、彼は俺は人を殺したことはない、殺さないことが俺の信念だからと答えた。まわりで人殺しが起こっている世界でなんてのんきなことを考えるやつだと私は思い、実際口にも出した。自分は殺さなくても、まわりの人間が人殺しをすれば、結局人が人に殺されているのに変わりはないわけで、彼は人殺しをしようとする全ての人間を止めなければならない理屈になる。彼はその問いにこう答えた。
「確かに俺たちは世界のすべてに目を向けることはできない。人間はたった一つの身体しかもっていないからね。でもだからこそ俺は、この身体が触れることのできる範囲にいる全ての人々に人を殺してはいけないと伝え、どんな困難も人を殺す以外の方法で解決していく。もし俺にあと一万個の身体があったら、世界中で今ここにいる俺自身と同じことをする。人を殺すことは絶対に正義じゃない。だから真名ちゃんにも、そういう気持ちで活動をしてほしい。君は純粋だから、きっと想える」
彼は私の手を力強く握った。私は恥ずかしくて彼の目を見られなかった。
思えば、ずいぶんと平和な活動をするようになったものだ。
私が「四階音の組み鈴」に入ったころは、血なまぐさい戦場を転々としていたような気がしていたのに。
そんな戦場の中で、私も人を殺し、殺されかけ、また殺して、殺して殺して駆け抜けた。
それがいまやずいぶん平和な生活をしている。心も穏やかになってきたように思えた。二十四歳の彼のおかげかもしれない。そういえば私に部署を変わるように告げた男も、彼のように理想主義者だったような気がする。最も、私はその男のことは忌み嫌っていた。彼は言葉だけの人間だとどこかで見下していた。
私は次第に二十四歳の彼と一緒にいることが増えた。はっきりいって、恋愛感情を抱いてもいた。
八歳と二十四歳の恋愛なんて、正直犯罪(善良 逆)だと思うが、私たちにとってそんなことはどうでもよかった。私たちは魔法使いの仲介でパクティオーをすませ、名実共にパートナーとなった。
私たちは街の銀行を襲う犯罪者グループを生け捕りにしたり、壊れた橋の修理を手伝ったり、がけ崩れで遮断された交通の復帰に全力を注いだり、井戸を掘ったり、植物の育て方を教えたり、善良な市民を狙うテロリストを捕まえそれを市民に引き渡したり、戦争で犠牲が少しでも少なくなるよう(戦場を)立ち回ったり政府まの仲を取り持ったり、はては魔族、幽霊退治まで本当に様々な仕事をした。そのどれもで、殺さず(魔族、幽霊に対しては徹底はしなかったが……)を貫いて。私は何故か、盲目的に人を殺してはいけないのだと思うようになり、人を殺さずに無力化する技術を磨き続けた。(知恵)
そんな日々が永遠に続くと思われたころ、ある戦時中の街で市民を人質に、米国支配からの脱却を政府に要求した独立運動組織があった。彼らは強い信念を持っており、政府が要求を呑まない場合には、人質の皆殺しも辞さないと宣言していた。
九歳の私と、つい先日二十六歳になったばかりの彼は、米国に雇われて独立運動組織を止めるよう指示を受けた。
私は組織幹部のイカレタ目を見たとき、これは話しても無駄だと直感的に感じ、遠距離からのスナイプと近距離特攻で、一気に鎮圧するべきだと私は訴えた。しかし彼は、それは市民に危害が及ぶ可能性が高いからまずは話しあうべき、俺が交渉へ行ってみるといって聞かなかった。
今にして思えば、足を打ち抜いてでもこのとき彼を止めておくべきだった。私は彼が組織に制圧された街へ足を踏み入れるとき、ライフルもかまえず、その姿をじっと見ているだけでいた。
彼が一言二言大声で話し、組織幹部が立てこもるビルから出てくる。
話し合いが始まると思えたそのとき、銃声が響いて、彼の頭は鼻の上から吹き飛んでいた。
全てがなにもかも幻想のように思えて、何も考えられなくなって、地球が今現在何時何分何十秒で何回太陽の周りを回ったとか意味の分からないことを考えて、素数を数えたり、真夜中のロイヤルスイートホテルの最上階のレストランで彼とお茶したときの思い出とか、脈絡のない思い出ばかりが頭の中で高速なスライドショーのように写り変わり写り変わり、私が何者なのかなぜここにいるのかなぜこんな暑いところで汗をかきながらぼんやりと前を見ているのかその全てが分からなくなって、私は発狂した。
そのあと警官隊が突撃して、何人かの市民を犠牲にしながら、独立組織は鎮圧された。
そのことを私はきっと二週間ぐらい認識することが出来なくて、彼が死んでしまったことも認識することが出来なくて、そんな状況が数週間ぐらい続いて、「四階音の組み鈴」の上層部から実家に戻ることを進められた。
私はそれから実家である龍宮神社で崩れそうになる心を何とか支えながら父の指導を受けて一ヶ月瞑想し、その出来事を、しだいに心の奥の小さな箱の中に仕舞った。仕舞ったと思えた。結局のところそれは現実からの逃避でしかなかった。
あるとき、私が瞑想していると、私はとても不思議な気持ちを感じた。あのころ……彼がまだ二十四歳だったあのころに見た風景の全てが、鮮やかな色を持って目の前に浮かび上がってきたのだ。
「なぜこんなにくっきりと、覚えているんだろう」
言って気づいた。それはあの時自分が、彼に対して思ったことそのままなのだ。彼が買出しに行った街の風景とか、店のおじさんの表情とか、見聞き出会った全ての事象を話してくれたように、今自分は、彼と一緒に過ごした日々の中で見聞き出会った全ての事象を事細かに話すことが出来る。
そのことは私を涙させた。やっとわかった。彼のように生きることは、彼のように輝いて生きることは、あの日々、私は幸せだったのだ。そして全ての思い出が蘇ってくるに連れ、人生で最も輝かしく美しかった日々を箱に仕舞おうとしていた自分がとてもちっぽけに見えた。その思い出を除いては、決して自分は幸せでなかった。その日々を捨てることは自分の幸せを捨てることと同義だ。
だから。
私はあの日々を背負いながら、必死で今を生きよう。輝いていた日々に劣らぬ毎日を今過ごせるようにするため、あの日々の思い出を頭の中の一番取り出しやすいところにそっと置いておこう。
それは誰にも話すようなことではない。けれども自分だけは、それを毎日照合できるところにおいておこう。
私は真帆等学園へ通い始めた。
そこは皆なんらの悩みを抱え、それと向き合い、毎日を生きている。
正直、終わったことにとらわれている自分は弱かった。脆弱だった。
私は、二十六歳で人生を終えた彼の思い出を抱えながら、前を向いて生きよう。
あの夢のような日々を抱えて。
------------------------------------
援助者がグダグダになっちった!
敵対者はむしろ「解放」だし・・・。
上手くいかないもんだ、まいった。
正直いろんなことを突き詰めて考えていくうちに、
主人公は信念を持ってないとダメだって、
漠然と考えるようになってきてる。
〜だから“仕方なく”〜する
じゃなく、
〜だから、俺は〜する。
これだけでだいぶ変わるんじゃないかな。
リアルの自分自身にも言って聞かせるべきことだw
ツッコミ、感想などなど、なにか一言ありましたらどうぞ!
木曜日にレスします!
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おおきく振りかぶって、5,6巻、フルーツバスケット20巻を購入。
ふりかぶっては変わらず面白い。こんなに野球ってどきどきしたっけ??
連載しているのが月刊誌なので、発刊ペースが遅いのですが、気長に待ちます。彼らのためなら待てる気がする。
ではカードによるプロット作成
今回のカード配置。
-------------------------------------------
主人公の過去 解放(逆)
主人公の現在 創造(逆)
主人公の近い未来 変化(逆)
結末(目的) 知恵
援助者 秩序
敵対者 理性(逆)
------------------------------------------
今回はタカミチの話です。
ふりかぶっては変わらず面白い。こんなに野球ってどきどきしたっけ??
連載しているのが月刊誌なので、発刊ペースが遅いのですが、気長に待ちます。彼らのためなら待てる気がする。
ではカードによるプロット作成
今回のカード配置。
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主人公の過去 解放(逆)
主人公の現在 創造(逆)
主人公の近い未来 変化(逆)
結末(目的) 知恵
援助者 秩序
敵対者 理性(逆)
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今回はタカミチの話です。
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主人公の過去 解放(逆)
主人公の現在 創造(逆)
主人公の近い未来 変化(逆)
結末(目的) 知恵
援助者 秩序
敵対者 理性(逆)
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暦上は十数年前。北欧のとある海岸を前にして。
「ようタカミチ。ちったあ魔法使えるようになったか?」
ナギ・スプリングフィールドは冗談ぽく笑いかけた。
「ぼくが魔法使えないの知っているでしょう?」
ぼくはふてくされるように言った。
「冗談だよ。でも毎日鍛錬してるだろ?だからさ」
とナギは言って、さらさらの髪をかきあげながら続けた。
「まだ諦めてないのかな?って」
ナギの言葉に、ぼくは沈黙した。
魔法を使えないというコンプレックスが、常にぼくの人生に寄り添っていた。
もちろん最初は、魔法が使えなくても、なんてことはないと考えていた。魔法が使えなくても、僕には人の数倍努力をして身につけた腕力と、ガトウから使い方を学んだ“気”がある。それらは僕を一流の少年戦士として、AAAの特別部隊に所属することを許してくれた。最初はそれだけで全て満足だった。
しかし、
ナギやアルのような偉大なる魔法使いとともに旅をしていて、ふと感じる、魔法の、魔道の、絶対的優越性とでも呼ぶべきものを、僕はしだいに認めなければいけなくなった。例えば僕が腕力によって一体の敵を倒すのと同じ時間・労力で、彼らは数百の敵を倒していく。僕はそれを横目にし、次元の違いを痛感していた。
また、ナギやアルのパーティが挙げた多くの戦果は、AAAの名声を全世界へ広げ、行く先々の人々が僕たちを無条件に歓迎した。そう、僕たちはまるでその『行く先々に存在する問題』を解決するのが、極めて当然であるかのように人々に思われ、期待されているのだ。
ナギやアルは、その期待を笑いながら受け止め、そして期待通りに問題を解決してみせたが、そのとき彼らと行動を共にしていた僕には、彼らのような余裕はなかった。
『魔法も使えない僕は、この人たちの要望に応えることなど到底出来ない。だから』
過剰な期待や、僕の受け止められる容量をはるかに超える人々のまなざしが僕に、「成長しなければならない」という強迫観念を持たせた。僕の少年時代は、そんなふうに他人に縛りつけられていた。(解放 逆)
すべては、ナギとアルとガトウと……すべての偉大なる先駆者の影を追い求める、日々だった。
数年がたって僕は真帆等学園に預けられ、エヴァンジェリンと出会った。
彼女はそこにいけば現実の一時間で24時間を過ごすことができるマジックアイテム(別荘)を持っていた。
成長期、僕は別荘に通い続け、エヴァンジェリンの元で修行を受けた。それは魔法を身につけるための修行であったが、結局僕は魔法を身につけることは出来なかった。最終的に彼女にあきれられ、僕は一人で体術の修行に励むことを決めた。(創造 逆)
けれど十数年経ったいまでも、僕は魔法への憧れを持ち続けている。
僕は高校を卒業するとき、はっきりいってやさぐれていた。
特にやりたいこともなく、ぼんやりとして、もう一度AAAに戻りたいと夢を描きながら、しかしどんなに体術を学んでも、多人数を相手にするとき魔術にはかなわないことを知ってしまった僕は、AAAに戻ってももはやナギたちと行動を共にすることはできないことを知っていた。
明らかな才能の差。生まれ持った能力の違いが、これほど高い壁となって僕の前に立ちはだかることを、中学生の僕は想像していただろうか。僕はきっと、どんな才能の差も、努力によって埋められると考えていたはずだ。だから努力して来れた。
しかしそんなことが夢物語に過ぎないことを、いまの僕は――認めたくはないが――認めてしまっている。僕は、このとき荒んでいた。僕は高卒後AAAには参加せず、真帆等学園の大学部へ入った。(変化 逆)
大学時代、僕はたった一通の手紙を大事に保管していたような気がする。
それは僕が19歳のときにナギたちから届けられた、AAAへの招待状で、その手紙には確か、もう一度パーティをやろうという趣旨のことが書かれていたはずだ。僕は彼らに会わせる顔がないと考えて、その誘いを断ったつもりだった。実際、その誘いを断るための返事の手紙を大学の図書館で書いていた。しかしその最中に突然、アルが昔の僕に変身して図書館を訪れ、僕に「それでいいのか」と問うた。彼は、僕が真帆等にきてから行った全ての事象を、アーティファクトに書き記していたのだという。
僕はさまざまなことを考え、それでもやはり断ろうと考えて口を開きかけたが、「行かない」というたった一つの言葉がどうしてもでなかった。僕はきっと誘われて嬉しかったのだ。どうしようもなく手の届かない存在であるアルビレオやナギの姿をもう一度目に焼き付けることが出来ること、僕のようなたわいない平凡な人間が彼らの力を間近に見て、彼らと友人のように話を出来ることが。
だから僕はもう一度だけ彼らと旅をすることに決めた。
久しぶりに会った彼らは、みんなどこか昔よりも成長していて、しかし相変わらず中身はあのころのままだった。一緒に大戦を戦った戦友であり、親友であるというスタンスはこれっぽっちもかわっていなかった。 僕は意外と自然に彼らと話すことが出来た。
それでも少々変わったことはある。例えばナギが今度妻になる女性とやらをつれてきていたこと。僕は、ナギは生涯独身を貫くものだと信じて疑わなかったので、これには驚いた。というか、相手の女性に同情した。ナギの妻になるということは千の浮気をされることと同義なのだ。(おい、なんか失礼なこと言ってねーかタカミチ)
僕たちはあのころと同じように、魔族退治に出た。なぜこの時期に魔族が出現していたのか、その理由はおそらく詠春しかしらない。僕はこのとき、ただ彼らと一緒にいることができればよかったし、アルはもっと大きな仮説(魔族が発生したのは魔界に何か変動が起きていたからだ、その変動はおそらく、これこれこういう理由で起こったのだ、とか)を立てていただろうし、ナギは隣の女性のことだけを考えていた、と思う。(はっきりいって僕たちのパーティに頭脳派は詠春だけしかいなかった)
僕たちは魔族を簡単に倒した。ナギは僕の腕を褒めてくれた。腕を上げたなと、肩を叩いてくれた。
しかしそれはおそらく、中学時代の僕がやっても、同様に褒めてくれただろう。僕の能力の大半は中学時代に体得したもので、高校に入った後は衰退しただけだったからだ。僕は罪悪感を感じながら、大学最初の夏を、ナギたちと共に過ごした。
そしてパーティの解散が近づいたころ、僕の隠していたことが彼らにばれた。僕が中学時代の思い出は話す一方、高校時代の思い出をほとんど話さないということに、詠春が気づいたのだ。
これだけ毎日一緒に過ごしていれば、それはいつか暴かれるのだと、僕はなぜ考えなかったんだろう。いや、僕は知って欲しかったのだ。彼らに全てぶちまけてしまいたかったのだ。全てを明らかにして、彼らに罵声を浴びせてもらいたかったのだ。きっと。
彼らは僕の期待通り、僕に存分に罵声を浴びせてくれた。しかしそれはこんな怒り方だった。『お前そんなことで三年間無駄にしたのか?』、『なんで俺たちにいわないんだバカ』、『俺たちは戦友じゃないのか、なんでそんな大事な時に声をかけてくれない?』、『タカミチ、苦しかったろ』
僕は、これまで自分が抱いていた全てのわだかまりとか絶望とか、いらいらとか無気力とか、そんな全てのネガティブな物事を全て、胸の奥から消え去らせることができた。
僕は、たった一人で何もかもをしょい込もうとしていた。僕は弱音を吐くことがいけないことだと思い続けていた。
僕は人々の期待に応えることが、僕に課せられた義務だと思い続けていた。
彼らはそんな僕の思いあがりを、強い言葉で正してくれた。
僕の中でこのとき、何かが変わった。それは言葉に出していうととても陳腐な言葉にしかならないが、生きていくための心構えとでもいうもの、それからの僕を支えるのに十分な力をもったもの。とても短い言葉で言うと、弱さは罪じゃない、ということだ。
僕はそれから、詠春の父親である近衛門のもとで教育について学び、真帆等学園中等科での教育実習を経て、真帆等学園の教師になった。そしてこうして10年の年月が経って、いまはナギの息子であるネギ君の面倒を見ている。不思議な縁だ。僕は出来る限りのことを彼にしてあげようと思う。
僕は中学生のポジティブでエネルギッシュで、けれどどこか移ろいやすい、純粋な心がとても好きだ。
そして彼らがやがて、自分ではどうしようもない壁にぶつかったり、自分の限界が見えて無気力になってしまったとき、僕は、ナギやアルたちが僕にそうしてくれたように、彼らのことを考えてあげたい。そのとき、そばにいてあげられる存在でいたい。
だからいま僕は、教師をやっている。
このサクラサク真帆等学園のキャンパスで。
--------------------------------------------
書き始めすごく眠くて、短くなるかも・・・と思ってたんだけど、だんだん乗ってきて後半は流れるように書けた。
この作品にはいまの自分の気持ちが込められたと思ってる。(昨日今日のすごいアレに対して)
文章のほうは、ちょっとずつ納得のいく文章がかけるようになっているけど、
まだ10書いて納得いく:いかない=2:8くらい。
もっと精進します。
主人公の過去 解放(逆)
主人公の現在 創造(逆)
主人公の近い未来 変化(逆)
結末(目的) 知恵
援助者 秩序
敵対者 理性(逆)
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暦上は十数年前。北欧のとある海岸を前にして。
「ようタカミチ。ちったあ魔法使えるようになったか?」
ナギ・スプリングフィールドは冗談ぽく笑いかけた。
「ぼくが魔法使えないの知っているでしょう?」
ぼくはふてくされるように言った。
「冗談だよ。でも毎日鍛錬してるだろ?だからさ」
とナギは言って、さらさらの髪をかきあげながら続けた。
「まだ諦めてないのかな?って」
ナギの言葉に、ぼくは沈黙した。
魔法を使えないというコンプレックスが、常にぼくの人生に寄り添っていた。
もちろん最初は、魔法が使えなくても、なんてことはないと考えていた。魔法が使えなくても、僕には人の数倍努力をして身につけた腕力と、ガトウから使い方を学んだ“気”がある。それらは僕を一流の少年戦士として、AAAの特別部隊に所属することを許してくれた。最初はそれだけで全て満足だった。
しかし、
ナギやアルのような偉大なる魔法使いとともに旅をしていて、ふと感じる、魔法の、魔道の、絶対的優越性とでも呼ぶべきものを、僕はしだいに認めなければいけなくなった。例えば僕が腕力によって一体の敵を倒すのと同じ時間・労力で、彼らは数百の敵を倒していく。僕はそれを横目にし、次元の違いを痛感していた。
また、ナギやアルのパーティが挙げた多くの戦果は、AAAの名声を全世界へ広げ、行く先々の人々が僕たちを無条件に歓迎した。そう、僕たちはまるでその『行く先々に存在する問題』を解決するのが、極めて当然であるかのように人々に思われ、期待されているのだ。
ナギやアルは、その期待を笑いながら受け止め、そして期待通りに問題を解決してみせたが、そのとき彼らと行動を共にしていた僕には、彼らのような余裕はなかった。
『魔法も使えない僕は、この人たちの要望に応えることなど到底出来ない。だから』
過剰な期待や、僕の受け止められる容量をはるかに超える人々のまなざしが僕に、「成長しなければならない」という強迫観念を持たせた。僕の少年時代は、そんなふうに他人に縛りつけられていた。(解放 逆)
すべては、ナギとアルとガトウと……すべての偉大なる先駆者の影を追い求める、日々だった。
数年がたって僕は真帆等学園に預けられ、エヴァンジェリンと出会った。
彼女はそこにいけば現実の一時間で24時間を過ごすことができるマジックアイテム(別荘)を持っていた。
成長期、僕は別荘に通い続け、エヴァンジェリンの元で修行を受けた。それは魔法を身につけるための修行であったが、結局僕は魔法を身につけることは出来なかった。最終的に彼女にあきれられ、僕は一人で体術の修行に励むことを決めた。(創造 逆)
けれど十数年経ったいまでも、僕は魔法への憧れを持ち続けている。
僕は高校を卒業するとき、はっきりいってやさぐれていた。
特にやりたいこともなく、ぼんやりとして、もう一度AAAに戻りたいと夢を描きながら、しかしどんなに体術を学んでも、多人数を相手にするとき魔術にはかなわないことを知ってしまった僕は、AAAに戻ってももはやナギたちと行動を共にすることはできないことを知っていた。
明らかな才能の差。生まれ持った能力の違いが、これほど高い壁となって僕の前に立ちはだかることを、中学生の僕は想像していただろうか。僕はきっと、どんな才能の差も、努力によって埋められると考えていたはずだ。だから努力して来れた。
しかしそんなことが夢物語に過ぎないことを、いまの僕は――認めたくはないが――認めてしまっている。僕は、このとき荒んでいた。僕は高卒後AAAには参加せず、真帆等学園の大学部へ入った。(変化 逆)
大学時代、僕はたった一通の手紙を大事に保管していたような気がする。
それは僕が19歳のときにナギたちから届けられた、AAAへの招待状で、その手紙には確か、もう一度パーティをやろうという趣旨のことが書かれていたはずだ。僕は彼らに会わせる顔がないと考えて、その誘いを断ったつもりだった。実際、その誘いを断るための返事の手紙を大学の図書館で書いていた。しかしその最中に突然、アルが昔の僕に変身して図書館を訪れ、僕に「それでいいのか」と問うた。彼は、僕が真帆等にきてから行った全ての事象を、アーティファクトに書き記していたのだという。
僕はさまざまなことを考え、それでもやはり断ろうと考えて口を開きかけたが、「行かない」というたった一つの言葉がどうしてもでなかった。僕はきっと誘われて嬉しかったのだ。どうしようもなく手の届かない存在であるアルビレオやナギの姿をもう一度目に焼き付けることが出来ること、僕のようなたわいない平凡な人間が彼らの力を間近に見て、彼らと友人のように話を出来ることが。
だから僕はもう一度だけ彼らと旅をすることに決めた。
久しぶりに会った彼らは、みんなどこか昔よりも成長していて、しかし相変わらず中身はあのころのままだった。一緒に大戦を戦った戦友であり、親友であるというスタンスはこれっぽっちもかわっていなかった。 僕は意外と自然に彼らと話すことが出来た。
それでも少々変わったことはある。例えばナギが今度妻になる女性とやらをつれてきていたこと。僕は、ナギは生涯独身を貫くものだと信じて疑わなかったので、これには驚いた。というか、相手の女性に同情した。ナギの妻になるということは千の浮気をされることと同義なのだ。(おい、なんか失礼なこと言ってねーかタカミチ)
僕たちはあのころと同じように、魔族退治に出た。なぜこの時期に魔族が出現していたのか、その理由はおそらく詠春しかしらない。僕はこのとき、ただ彼らと一緒にいることができればよかったし、アルはもっと大きな仮説(魔族が発生したのは魔界に何か変動が起きていたからだ、その変動はおそらく、これこれこういう理由で起こったのだ、とか)を立てていただろうし、ナギは隣の女性のことだけを考えていた、と思う。(はっきりいって僕たちのパーティに頭脳派は詠春だけしかいなかった)
僕たちは魔族を簡単に倒した。ナギは僕の腕を褒めてくれた。腕を上げたなと、肩を叩いてくれた。
しかしそれはおそらく、中学時代の僕がやっても、同様に褒めてくれただろう。僕の能力の大半は中学時代に体得したもので、高校に入った後は衰退しただけだったからだ。僕は罪悪感を感じながら、大学最初の夏を、ナギたちと共に過ごした。
そしてパーティの解散が近づいたころ、僕の隠していたことが彼らにばれた。僕が中学時代の思い出は話す一方、高校時代の思い出をほとんど話さないということに、詠春が気づいたのだ。
これだけ毎日一緒に過ごしていれば、それはいつか暴かれるのだと、僕はなぜ考えなかったんだろう。いや、僕は知って欲しかったのだ。彼らに全てぶちまけてしまいたかったのだ。全てを明らかにして、彼らに罵声を浴びせてもらいたかったのだ。きっと。
彼らは僕の期待通り、僕に存分に罵声を浴びせてくれた。しかしそれはこんな怒り方だった。『お前そんなことで三年間無駄にしたのか?』、『なんで俺たちにいわないんだバカ』、『俺たちは戦友じゃないのか、なんでそんな大事な時に声をかけてくれない?』、『タカミチ、苦しかったろ』
僕は、これまで自分が抱いていた全てのわだかまりとか絶望とか、いらいらとか無気力とか、そんな全てのネガティブな物事を全て、胸の奥から消え去らせることができた。
僕は、たった一人で何もかもをしょい込もうとしていた。僕は弱音を吐くことがいけないことだと思い続けていた。
僕は人々の期待に応えることが、僕に課せられた義務だと思い続けていた。
彼らはそんな僕の思いあがりを、強い言葉で正してくれた。
僕の中でこのとき、何かが変わった。それは言葉に出していうととても陳腐な言葉にしかならないが、生きていくための心構えとでもいうもの、それからの僕を支えるのに十分な力をもったもの。とても短い言葉で言うと、弱さは罪じゃない、ということだ。
僕はそれから、詠春の父親である近衛門のもとで教育について学び、真帆等学園中等科での教育実習を経て、真帆等学園の教師になった。そしてこうして10年の年月が経って、いまはナギの息子であるネギ君の面倒を見ている。不思議な縁だ。僕は出来る限りのことを彼にしてあげようと思う。
僕は中学生のポジティブでエネルギッシュで、けれどどこか移ろいやすい、純粋な心がとても好きだ。
そして彼らがやがて、自分ではどうしようもない壁にぶつかったり、自分の限界が見えて無気力になってしまったとき、僕は、ナギやアルたちが僕にそうしてくれたように、彼らのことを考えてあげたい。そのとき、そばにいてあげられる存在でいたい。
だからいま僕は、教師をやっている。
このサクラサク真帆等学園のキャンパスで。
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書き始めすごく眠くて、短くなるかも・・・と思ってたんだけど、だんだん乗ってきて後半は流れるように書けた。
この作品にはいまの自分の気持ちが込められたと思ってる。(昨日今日のすごいアレに対して)
文章のほうは、ちょっとずつ納得のいく文章がかけるようになっているけど、
まだ10書いて納得いく:いかない=2:8くらい。
もっと精進します。
ツッコミ、感想などなど、なにか一言ありましたらどうぞ!
木曜日にレスします!
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カードによるプロット作成
今回のカード配置。
-------------------------------------------
主人公の過去 至誠
主人公の現在 結合
主人公の近い未来 創造
結末(目的) 清楚(逆)
援助者 慈愛(逆)
敵対者 寛容
------------------------------------------
今回は、ネギま!キャラを使いつつも、過去の設定にかなり改変が行われています。
でもキャラクターのイメージは崩さないように配慮したつもりです。よかったら感想などくださいませ^^
それと、挿絵募集中。文字だけじゃどうにもさびしいのです^^;
もし挿絵描いてくださる方おられましたら、
トラックバックでお知らせください。
(エントリーに、どこどこの場面の挿絵ですと書いてイラスト貼ってトラックバックしてくださったら、こちらで生かせるよう工夫してリンクします。もちろんご希望に添えるよう努力します)
なお、今回はひたすら夏×コタなので、このカップリング許さんって方は読むのをお控えください(__)では。
今回のカード配置。
-------------------------------------------
主人公の過去 至誠
主人公の現在 結合
主人公の近い未来 創造
結末(目的) 清楚(逆)
援助者 慈愛(逆)
敵対者 寛容
------------------------------------------
今回は、ネギま!キャラを使いつつも、過去の設定にかなり改変が行われています。
でもキャラクターのイメージは崩さないように配慮したつもりです。よかったら感想などくださいませ^^
それと、挿絵募集中。文字だけじゃどうにもさびしいのです^^;
もし挿絵描いてくださる方おられましたら、
トラックバックでお知らせください。
(エントリーに、どこどこの場面の挿絵ですと書いてイラスト貼ってトラックバックしてくださったら、こちらで生かせるよう工夫してリンクします。もちろんご希望に添えるよう努力します)
なお、今回はひたすら夏×コタなので、このカップリング許さんって方は読むのをお控えください(__)では。
-------------------------------------------
主人公の過去 至誠
主人公の現在 結合
主人公の近い未来 創造
結末(目的) 清楚(逆)
援助者 慈愛(逆)
敵対者 寛容
------------------------------------------
彼女はずっと、両親に対して従順な女の子だった。(過去 至誠)
彼女は親の勧めるとおり真帆等学園に進み、清楚な母の言いつけをまもって地味な服を着、地味な髪型をして、夜遊びもあまりせず過ごした。寮での生活ではあったが、長い休みには必ず実家に戻ったし、母の日には母にプレゼントを贈り父の日には父にプレゼントを贈った。
やがて反抗期が訪れ、母や父のことを憎らしく感じはじめる。
(なぜ、もっと流行についていこうとしないの?)
(感性が古いかも・・・・・・)
(自分だってやってないじゃん。人に押し付けないでよ)
(私はお父さんみたいに、生真面目じゃないもん)
両親とのほんの少しの感覚の差異が、時に親子の関係をギスギスとさせた。
それでも、内側では両親への憤りを抱きながらも彼女は、親に冷たい言葉をかけたり、親に心配をかけるようなことはしなかった。親の前ではいつもにこにこと気持ちよく笑うし、母の隣で家事を手伝い、冗談を交えながら父の肩を揉んだ。
我を出さなかったのは、彼女が、ずっとずっと先のことを考えていたからだ。いつか両親が亡くなったとき、喧嘩した思い出しか残らなかったら、あまりに悲しいから。もう少し両親を大事にしておけばよかったなと後悔するのはいやだから。
けれどそう考えていて彼女はふと思った。一度も喧嘩しないで死に別れたら、それは本当に幸せなことだろうか。そのときはもう少し喧嘩すればよかったと、後悔するのではないだろうか。
彼女はいま、大学生になっていた。
村上夏美は、大学でも演劇を続けていた。もう九年目になるだろうか。大学に入って二年間は演劇から離れていたが、やはり何か物足りなくて、もどってきた。みんなは歓迎してくれた。自分はやはり演劇が好きだと、彼女は再認識した。
四回生のこの年は、夏美は曲がりなりにも主役をまかされ、上手くこなした。そのことを昔のクラスメイトも祝ってくれた。演劇部での功績は就職活動にも良く影響した。夏美は四社から内定をいただき、そのなかの一つ『マホラマホラ』(化粧品会社)に就職することを決めた。
一方、両親との関係はギスギスしていた。反抗期下手に感情を押さえてきたから、二十歳を越えても両親とわかりあえない。普通中学生は、親とぶつかることで自分の“我”というものを親に知らせ、次第に互いが不快でない距離感を手探りして見つけようとする。しかし反抗期両親に心配をかけないよう気を遣った彼女と彼女の家族はいま、その互いが不快でない距離をとれないでいた。両親は夏見に、「夏美はいい子だ」「夏美ならできる」と無責任な言葉をかけたし、夏美は両親に気を遣い、お金の相談や悩みを話す気にはなれなかった。
そして卒業が二ヵ月後に迫ったこのとき、夏美は一つ大きな問題、悩みを抱えていた。
恋人の犬上小太郎である。付き合い始めて四年目、彼らは、夏美の卒業と同時に、結婚をする計画を立てていた。(現在 結合)な罪はまだ両親にこのことを伝えてはいない。
「夏美、別にお前は働かんでええんやで」
小太郎は言った。彼は夏美が中学三年生だった八年前、あの真帆等祭で年齢詐称薬を飲んで大きくなったそのままの姿で今、夏美の前にいる。
彼は二歳ほど年を誤魔化して専門学校に進み、今はもう就職して働いている。意外と勉強も出来た彼は、もちまえの正義感と類稀なる嗅覚(それは実際の鼻のよさもそうだし、危険を回避する動物的な危機感覚の良さもあった)で、入社一年目にしてすでにオペレーションリーダーの役割を与えられている。
「俺が稼ぐねんから」
「ありがとう、小太郎君は優しいね。……でも、私働いてみたいんだ」
夏美は小太郎にぴったりと身体をよせる。
「小太郎君がどれくらい大変なのか知ったら、もっと優しくできると思うから」
小太郎は頭をかきながら照れくさそうにいう。
「まあそれやったら何も言わんけどな。つーかお前、そんな引っ付くなよ」
小太郎は夏美を振りほどいた。夏美は彼のそんな幼さの残るところが大好きだった。
「しかし夏美、親父さんとおふくろさんの方が大丈夫か?なんやったら俺、もう何年か待ってもええんやで」
「ううん。いいの。今を逃したら、もうわかりあえないような気がするから」
夏美は力強く、覚悟を決めた表情で言った。
二人は夏美の両親に会った。しかし両親は娘の連れてきた男に、まず灰皿を投げた。もちろん小太郎はそれを俊敏な反射神経で察知し灰皿をキャッチしたが、そのことがさらに両親を逆上させた。小太郎は(しもた、またやってもた。八年前にもこんなことあったな・・・)後悔した。夏美の両親は地球中のマグマが頭上から噴火し続けているのではないかと思えるぐらい、激烈に怒り狂い、小太郎を否定した。こんな男をなぜ連れてきたのだと、夏美に怒鳴り、そのことは小太郎をも怒らせた。「夏美が悪いんちゃうやろ」。両者譲ることなく、小太郎と夏美の両親は激烈な別れをすることになった。
夏美の両親は古い時代の人間で、生真面目な青年に婿に来て欲しいと考えていた。だからこんな風に垢抜けた青年を認めようとしなかったのだ。
「ごめんね」
夜のカフェテリアで、夏美は泣きながら小太郎にしがみついていた。
「見た目じゃないっていっても、全然わかってくれない。小太郎君はそんな人じゃないのに、見た目だけで判断して」
夏美はその日、悔しさを小太郎に思い切りぶつけた。
「お父さんも、お母さんも、昔の古い感性から全然抜け出さないんだよ?なんで少しも学ぼうとしないのかな」
夏美はこれまで抱えていた両親への不満を、小太郎に思い切りぶつけた。
小太郎はそんな夏美の言葉を、うんうんと頷きながらずっと聴いていた。夏美がうつ伏せになってしゃべらなくなるまで、ずっとそうしていた小太郎は、カクテルに口をつけ、息を整えてから夏美の肩をそっと抱く。夏美は涙でくしゃくしゃになった顔を上げた。
「なあ、見てみ、夏美。俺らが始めてデートしたときから、この店はなにもかわっとらん。あそこの洒落た照明も、このクッションのやわらかさも、昔ここに来たときと一緒やないか。なあ、夏美、俺らが成長しても店はずっと思い出の中の風景と一緒や。かわらへん。親もそういうもんなんちゃうか?夏美が戻っていったときにずっと昔のままで迎えてくれる。それが親やろ?それが親のええとこやで」
夏美はもう一度、小太郎の胸に飛び込んで泣いた。
しかしこのあと、どうしても夏美は両親と会えず、ほとんど絶縁のようになってしまう。
二人の間に赤ん坊が生まれたのは、卒業して三年がたった後だった。(近未来 創造)
化粧品会社で二年半働いた夏美は三ヶ月前に出産休暇をとり出産に備え、小太郎も出産の場には立ち会った。生まれたてのしわくちゃな赤ちゃんは人間とは別の生き物のようで、その小さくて軽い体を、夏美は壊れ物を触るようにそっと抱いた。僅かではあったが、重みが伝わってくる。夏美はその子をとてもとても愛おしそうに眺めた。病室に差し込む光が、いつもよりずっと強く感じられて、病院の真っ白な壁がまぶしくて見られない。腕の中で乳をすう赤ん坊は、そんな病室の真っ白な閃光のなかで、金色に光っているように見えた。世界の全てがこの子のためにある。そんな気がした。
「じゃあ、やっぱり両親にちゃんと伝えたほうがいいんじゃないかしら?」
中学生のときの将来の夢をずっと抱き続け、その夢をかなえて保母になった那波千鶴。
「いつまでも同棲みたいなこと、続けていられないわよ」
「うん、わかってる」
夏美はそうは言ったが、三年間あっていない両親と、どんな顔をして会えばいいのか、全く想像できなかった。
子供のころに喧嘩をしなかったことが、今になって謝り方がわからない、歩み寄りかたがわからないという、経験しか答えを出せない難解な問題になって現れる。昔たてた予想は当たり、夏美は今後悔していた。
子育てをしながら、出社する小太郎を送り、心の奥で悩む。悩みは子育てに影を落とし、心の底から赤ん坊にかまうことが出来ない。けれど愛情、愛おしさばかりが増徴し、かまうことが出来ない自己嫌悪と、赤ん坊に全て尽くしたい愛情の間に挟まれて夏美は、赤ん坊を寝付かせたあと小太郎が帰るのをたった一人で待つ間、震えながら涙を流していた。
「なあ夏美、疲れてるやろ」
いつしか小太郎は、夏美にそんな言葉をかけるようになった。小太郎はとてもよく自分の事を見てくれる。奥さんの表情の変化に気づかない男だっているのだ。そうして何度目かの夜、小太郎はつげた。
「子供もできたもんな」
夏美は、小太郎には全て話したほうがいいと考えた。
いつまでも同棲みたいなことは続けていられない、結婚してちゃんとしたい。けれど両親に了承を得るためにもう一度実家へ帰ることには、とてもじゃないが踏み出せない、ということを小太郎に伝えた。
夏美は、親に伝えないまま、近しい友達だけ集めて式を挙げてもいいんじゃないか(敵対者 寛容)と妥協案みたいなことも考えて伝えた。けれど小太郎は、夏美に「それは俺らにとっても、お義父さんお義母さんにとってもよくない」言って、翌日会社を休み髪型を整え身支度して、夏美と子供を抱えるように抱いて夏美の両親のもとへ走った。
久しぶりに見る父は、なんだかとても小さく見えた。仕事の責任、子育ての期待と裏切り、そのほか全ての人生の苦さ辛さが、父の肩の上から父を押しつぶして、あらゆる生気を搾り出してしまった、そんな感じに見える。
この日は、小太郎、両親とも以前のように激怒することは無かった。以前とは見違えるほど礼儀正しく清楚な小太郎が、子供を抱き上げて穏やかに言った。
「お義父さん、孫を抱いてやってください」
父はしばらく沈黙してから、孫を受け取り、抱いたまま、じっと、孫を観ていた。年を重ねるたびに増えるしわで、しわくちゃになった顔は、もっともっとしわくちゃになっていた。
「夏美」
父は小太郎に孫をそっとあずけ、充血した目で夏美を凝視した。何か言おうとして、しかしくぐもって途中でそれ以上言えなくなったり、かすれて最初の一言が出なかったりした。父はずずっと鼻をすすり、手のひらで鼻水をふいた。四度目の挑戦で、やっと彼は言うことができた。
「お前はもう、うちの娘じゃない(慈愛 逆)。この男と一緒に、どこへでもいけ。でも……、でもな。結婚式だけは……お父さんをのけ者にするなよ」
言い終えて父は、夏美は、泣き崩れた。
エピローグ
「夏美ちゃん、綺麗よ」
ちづねえにそういわれて、私は目を開ける。それから鏡を探した。
「わあ」
鏡に映る私は、雪みたいに白いウエディングドレスを着ている。
シンデレラの劇で使われた本物のウエディングドレスを見たときは、こんなの絶対私には似合わない、そう思った。
けれどいまは、なかなか着こなしているじゃん、私。口元が緩むのが、自分でも分かった。
私、村上夏美はこの日、これまでの私の人生のなかで、一番お洒落(清楚 逆)したと思う。
「夏美、いくぞ」
鏡に見惚れている私に、小太郎が呼びかけた。
私は演劇でやるみたいに颯爽ときびすを返し、彼の後に続いた――。
------------------------------------
今日はすごく気分が沈んでいたので、どんな悲惨な話になるかなあと、懸念していたんですが、何のことはないいつもよりずっと良い話じゃないか(笑)
沈んでるときこそ、こういう幸せな話がかけるなら、ずっと欝だって良いや。そう思ってしまいましたw
主人公の過去 至誠
主人公の現在 結合
主人公の近い未来 創造
結末(目的) 清楚(逆)
援助者 慈愛(逆)
敵対者 寛容
------------------------------------------
彼女はずっと、両親に対して従順な女の子だった。(過去 至誠)
彼女は親の勧めるとおり真帆等学園に進み、清楚な母の言いつけをまもって地味な服を着、地味な髪型をして、夜遊びもあまりせず過ごした。寮での生活ではあったが、長い休みには必ず実家に戻ったし、母の日には母にプレゼントを贈り父の日には父にプレゼントを贈った。
やがて反抗期が訪れ、母や父のことを憎らしく感じはじめる。
(なぜ、もっと流行についていこうとしないの?)
(感性が古いかも・・・・・・)
(自分だってやってないじゃん。人に押し付けないでよ)
(私はお父さんみたいに、生真面目じゃないもん)
両親とのほんの少しの感覚の差異が、時に親子の関係をギスギスとさせた。
それでも、内側では両親への憤りを抱きながらも彼女は、親に冷たい言葉をかけたり、親に心配をかけるようなことはしなかった。親の前ではいつもにこにこと気持ちよく笑うし、母の隣で家事を手伝い、冗談を交えながら父の肩を揉んだ。
我を出さなかったのは、彼女が、ずっとずっと先のことを考えていたからだ。いつか両親が亡くなったとき、喧嘩した思い出しか残らなかったら、あまりに悲しいから。もう少し両親を大事にしておけばよかったなと後悔するのはいやだから。
けれどそう考えていて彼女はふと思った。一度も喧嘩しないで死に別れたら、それは本当に幸せなことだろうか。そのときはもう少し喧嘩すればよかったと、後悔するのではないだろうか。
彼女はいま、大学生になっていた。
村上夏美は、大学でも演劇を続けていた。もう九年目になるだろうか。大学に入って二年間は演劇から離れていたが、やはり何か物足りなくて、もどってきた。みんなは歓迎してくれた。自分はやはり演劇が好きだと、彼女は再認識した。
四回生のこの年は、夏美は曲がりなりにも主役をまかされ、上手くこなした。そのことを昔のクラスメイトも祝ってくれた。演劇部での功績は就職活動にも良く影響した。夏美は四社から内定をいただき、そのなかの一つ『マホラマホラ』(化粧品会社)に就職することを決めた。
一方、両親との関係はギスギスしていた。反抗期下手に感情を押さえてきたから、二十歳を越えても両親とわかりあえない。普通中学生は、親とぶつかることで自分の“我”というものを親に知らせ、次第に互いが不快でない距離感を手探りして見つけようとする。しかし反抗期両親に心配をかけないよう気を遣った彼女と彼女の家族はいま、その互いが不快でない距離をとれないでいた。両親は夏見に、「夏美はいい子だ」「夏美ならできる」と無責任な言葉をかけたし、夏美は両親に気を遣い、お金の相談や悩みを話す気にはなれなかった。
そして卒業が二ヵ月後に迫ったこのとき、夏美は一つ大きな問題、悩みを抱えていた。
恋人の犬上小太郎である。付き合い始めて四年目、彼らは、夏美の卒業と同時に、結婚をする計画を立てていた。(現在 結合)な罪はまだ両親にこのことを伝えてはいない。
「夏美、別にお前は働かんでええんやで」
小太郎は言った。彼は夏美が中学三年生だった八年前、あの真帆等祭で年齢詐称薬を飲んで大きくなったそのままの姿で今、夏美の前にいる。
彼は二歳ほど年を誤魔化して専門学校に進み、今はもう就職して働いている。意外と勉強も出来た彼は、もちまえの正義感と類稀なる嗅覚(それは実際の鼻のよさもそうだし、危険を回避する動物的な危機感覚の良さもあった)で、入社一年目にしてすでにオペレーションリーダーの役割を与えられている。
「俺が稼ぐねんから」
「ありがとう、小太郎君は優しいね。……でも、私働いてみたいんだ」
夏美は小太郎にぴったりと身体をよせる。
「小太郎君がどれくらい大変なのか知ったら、もっと優しくできると思うから」
小太郎は頭をかきながら照れくさそうにいう。
「まあそれやったら何も言わんけどな。つーかお前、そんな引っ付くなよ」
小太郎は夏美を振りほどいた。夏美は彼のそんな幼さの残るところが大好きだった。
「しかし夏美、親父さんとおふくろさんの方が大丈夫か?なんやったら俺、もう何年か待ってもええんやで」
「ううん。いいの。今を逃したら、もうわかりあえないような気がするから」
夏美は力強く、覚悟を決めた表情で言った。
二人は夏美の両親に会った。しかし両親は娘の連れてきた男に、まず灰皿を投げた。もちろん小太郎はそれを俊敏な反射神経で察知し灰皿をキャッチしたが、そのことがさらに両親を逆上させた。小太郎は(しもた、またやってもた。八年前にもこんなことあったな・・・)後悔した。夏美の両親は地球中のマグマが頭上から噴火し続けているのではないかと思えるぐらい、激烈に怒り狂い、小太郎を否定した。こんな男をなぜ連れてきたのだと、夏美に怒鳴り、そのことは小太郎をも怒らせた。「夏美が悪いんちゃうやろ」。両者譲ることなく、小太郎と夏美の両親は激烈な別れをすることになった。
夏美の両親は古い時代の人間で、生真面目な青年に婿に来て欲しいと考えていた。だからこんな風に垢抜けた青年を認めようとしなかったのだ。
「ごめんね」
夜のカフェテリアで、夏美は泣きながら小太郎にしがみついていた。
「見た目じゃないっていっても、全然わかってくれない。小太郎君はそんな人じゃないのに、見た目だけで判断して」
夏美はその日、悔しさを小太郎に思い切りぶつけた。
「お父さんも、お母さんも、昔の古い感性から全然抜け出さないんだよ?なんで少しも学ぼうとしないのかな」
夏美はこれまで抱えていた両親への不満を、小太郎に思い切りぶつけた。
小太郎はそんな夏美の言葉を、うんうんと頷きながらずっと聴いていた。夏美がうつ伏せになってしゃべらなくなるまで、ずっとそうしていた小太郎は、カクテルに口をつけ、息を整えてから夏美の肩をそっと抱く。夏美は涙でくしゃくしゃになった顔を上げた。
「なあ、見てみ、夏美。俺らが始めてデートしたときから、この店はなにもかわっとらん。あそこの洒落た照明も、このクッションのやわらかさも、昔ここに来たときと一緒やないか。なあ、夏美、俺らが成長しても店はずっと思い出の中の風景と一緒や。かわらへん。親もそういうもんなんちゃうか?夏美が戻っていったときにずっと昔のままで迎えてくれる。それが親やろ?それが親のええとこやで」
夏美はもう一度、小太郎の胸に飛び込んで泣いた。
しかしこのあと、どうしても夏美は両親と会えず、ほとんど絶縁のようになってしまう。
二人の間に赤ん坊が生まれたのは、卒業して三年がたった後だった。(近未来 創造)
化粧品会社で二年半働いた夏美は三ヶ月前に出産休暇をとり出産に備え、小太郎も出産の場には立ち会った。生まれたてのしわくちゃな赤ちゃんは人間とは別の生き物のようで、その小さくて軽い体を、夏美は壊れ物を触るようにそっと抱いた。僅かではあったが、重みが伝わってくる。夏美はその子をとてもとても愛おしそうに眺めた。病室に差し込む光が、いつもよりずっと強く感じられて、病院の真っ白な壁がまぶしくて見られない。腕の中で乳をすう赤ん坊は、そんな病室の真っ白な閃光のなかで、金色に光っているように見えた。世界の全てがこの子のためにある。そんな気がした。
「じゃあ、やっぱり両親にちゃんと伝えたほうがいいんじゃないかしら?」
中学生のときの将来の夢をずっと抱き続け、その夢をかなえて保母になった那波千鶴。
「いつまでも同棲みたいなこと、続けていられないわよ」
「うん、わかってる」
夏美はそうは言ったが、三年間あっていない両親と、どんな顔をして会えばいいのか、全く想像できなかった。
子供のころに喧嘩をしなかったことが、今になって謝り方がわからない、歩み寄りかたがわからないという、経験しか答えを出せない難解な問題になって現れる。昔たてた予想は当たり、夏美は今後悔していた。
子育てをしながら、出社する小太郎を送り、心の奥で悩む。悩みは子育てに影を落とし、心の底から赤ん坊にかまうことが出来ない。けれど愛情、愛おしさばかりが増徴し、かまうことが出来ない自己嫌悪と、赤ん坊に全て尽くしたい愛情の間に挟まれて夏美は、赤ん坊を寝付かせたあと小太郎が帰るのをたった一人で待つ間、震えながら涙を流していた。
「なあ夏美、疲れてるやろ」
いつしか小太郎は、夏美にそんな言葉をかけるようになった。小太郎はとてもよく自分の事を見てくれる。奥さんの表情の変化に気づかない男だっているのだ。そうして何度目かの夜、小太郎はつげた。
「子供もできたもんな」
夏美は、小太郎には全て話したほうがいいと考えた。
いつまでも同棲みたいなことは続けていられない、結婚してちゃんとしたい。けれど両親に了承を得るためにもう一度実家へ帰ることには、とてもじゃないが踏み出せない、ということを小太郎に伝えた。
夏美は、親に伝えないまま、近しい友達だけ集めて式を挙げてもいいんじゃないか(敵対者 寛容)と妥協案みたいなことも考えて伝えた。けれど小太郎は、夏美に「それは俺らにとっても、お義父さんお義母さんにとってもよくない」言って、翌日会社を休み髪型を整え身支度して、夏美と子供を抱えるように抱いて夏美の両親のもとへ走った。
久しぶりに見る父は、なんだかとても小さく見えた。仕事の責任、子育ての期待と裏切り、そのほか全ての人生の苦さ辛さが、父の肩の上から父を押しつぶして、あらゆる生気を搾り出してしまった、そんな感じに見える。
この日は、小太郎、両親とも以前のように激怒することは無かった。以前とは見違えるほど礼儀正しく清楚な小太郎が、子供を抱き上げて穏やかに言った。
「お義父さん、孫を抱いてやってください」
父はしばらく沈黙してから、孫を受け取り、抱いたまま、じっと、孫を観ていた。年を重ねるたびに増えるしわで、しわくちゃになった顔は、もっともっとしわくちゃになっていた。
「夏美」
父は小太郎に孫をそっとあずけ、充血した目で夏美を凝視した。何か言おうとして、しかしくぐもって途中でそれ以上言えなくなったり、かすれて最初の一言が出なかったりした。父はずずっと鼻をすすり、手のひらで鼻水をふいた。四度目の挑戦で、やっと彼は言うことができた。
「お前はもう、うちの娘じゃない(慈愛 逆)。この男と一緒に、どこへでもいけ。でも……、でもな。結婚式だけは……お父さんをのけ者にするなよ」
言い終えて父は、夏美は、泣き崩れた。
エピローグ
「夏美ちゃん、綺麗よ」
ちづねえにそういわれて、私は目を開ける。それから鏡を探した。
「わあ」
鏡に映る私は、雪みたいに白いウエディングドレスを着ている。
シンデレラの劇で使われた本物のウエディングドレスを見たときは、こんなの絶対私には似合わない、そう思った。
けれどいまは、なかなか着こなしているじゃん、私。口元が緩むのが、自分でも分かった。
私、村上夏美はこの日、これまでの私の人生のなかで、一番お洒落(清楚 逆)したと思う。
「夏美、いくぞ」
鏡に見惚れている私に、小太郎が呼びかけた。
私は演劇でやるみたいに颯爽ときびすを返し、彼の後に続いた――。
------------------------------------
今日はすごく気分が沈んでいたので、どんな悲惨な話になるかなあと、懸念していたんですが、何のことはないいつもよりずっと良い話じゃないか(笑)
沈んでるときこそ、こういう幸せな話がかけるなら、ずっと欝だって良いや。そう思ってしまいましたw
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